鳴子温泉(なるこおんせん)は、宮城県(旧国陸奥国、明治以降は陸前国)大崎市鳴子温泉にある温泉。福島県の飯坂温泉、宮城県の秋保温泉とともに奥州三名湯に数えられた。栗駒国定公園内に位置する。国民保養温泉地。
また、玉造郡旧鳴子町にあたる現在の行政地名。厳密には「鳴子温泉」の大字はなく、旧鳴子町の大字「鳴子町(大字)○○」が「大崎市鳴子温泉○○」の大字となっている。

名称
仙台弁をはじめとする東北弁の発音から、「なるご-」と濁音で呼ぶ者も多い。鉄道駅も旧駅名では「鳴子駅(なるごえき)」と濁っていたが、1997年の改称時に「鳴子温泉駅(なるこおんせんえき)」と濁らないものに変更されている。「ナル」は山腹または山裾の傾斜の緩いところ。
古代から中世にかけては「玉造湯(たまつくりのゆ)」と呼ばれた。江戸期に入り、仙台藩領を示す「仙台」を冠して「仙台鳴子の湯/仙台成子の湯」と呼ばれた。
近隣の温泉地を総称して「玉造八湯」と呼ばれた「鳴子(湯元)、河原湯、元車湯、新車湯、中山、赤湯、田中、川渡」のうち、「鳴子(湯元)、河原湯、元車湯、新車湯」の四湯が現在の鳴子温泉として数えられる。「かっけ(脚気)川渡、たんせき(胆石)田中、せんき (疝気)車湯、かさ(瘡)鳴子」と称され、鳴子は特に皮膚に効くとされた。

泉質
10種類の「温泉法上の温泉」のうち、7つの泉質が楽しめる。
地質
花崗岩類を基盤とし、その上に中新統の緑色凝灰岩層が変朽安山岩類をともなって発達しており、鳴子峡凝灰岩、溶結凝灰岩層が重なり、鳴子湖成層におおわれ、地表は段丘堆積物および鳴子火山噴出物におおわれている。

温泉街
鳴子温泉街は鳴子火山群北西の麓の標高150m – 200mに位置している。荒雄川を挟んで北西に花渕山が向かい立つ。
鳴子温泉駅前から滝の湯方面ならびに線路や国道47号と平行に温泉街が広がっている。大型ホテル、旅館や湯治宿などいろいろなタイプの宿が存在する。駅前には足湯や手湯も存在する。
湯元・新屋敷は、鳴子温泉駅の南側、鳴子火山群の麓に位置する。車湯は、新屋敷の東側、荒雄川(江合川)南岸に位置し、国道47号に並行して温泉街を形成する。水車で浴室へ引湯をしていたことが名の由来。河原湯は、鳴子温泉駅の北側、荒雄川(江合川)南岸に位置し、国道47号に並行して数件の宿が点在する。
下駄履きで温泉街を歩いて巡る「下駄も鳴子」というキャッチフレーズを打ち出しており、各旅館には宿泊客への貸し出し用の下駄が備えられている。鳴子温泉駅の観光案内所でも町歩き用の下駄を貸し出している。
毎年9月に温泉神社で献湯式が行われる。献湯式では源泉の所有者が持参した湯を神社に奉納し、自然の恵みへの感謝と鳴子温泉の繁栄を祈願する。
