石和温泉(いさわおんせん)は、山梨県笛吹市の旧東八代郡石和町地域にある温泉。近年では石和温泉に隣接する形で、同市の東方にある旧東山梨郡春日居町地域の春日居温泉も含めて石和温泉に事実上一本化されている。
概要
石和地区と春日居地区の宿泊施設や源泉位置が共に隣接していることから、同一の温泉街「石和温泉郷」として実質上一体化している。実際に道路標識では「石和温泉」「石和温泉郷」としか案内がされておらず、旅行雑誌などでも同一の「石和温泉」もしくは「石和温泉・春日居地区」などとして案内されており「春日居温泉」という単独での表記は少ない。春日居地区の「春日居共同源泉」が、石和地区の宿泊施設や療養施設に配湯されているケースも数軒あり、その逆のパターンも存在する。また「県営石和温泉給湯口」の2号源泉は春日居町に位置しているため、厳密には春日居温泉であるものの「県営石和温泉」に含まれている。同様の事例は温泉街に市町村境がある伊豆畑毛温泉でもみられる。
2000年代に入って以降、石和温泉駅周辺で栄えていた従来の温泉街から離れた郊外に、日帰り入浴施設や健康ランド、ビジネスホテル、病院、老人ホームなどが建設された。
歴史
戦前より葡萄畑栽培に必要な井戸を掘った農家が25℃前後、硫化水素臭のする水が出ていることから、温泉が出るのではないかと噂されていた。
1956年(昭和31年)12月、小松導平(1878~1938)の次男である小松安則が小松遊覧農場(2020年現在は日本中央競馬会の場外勝馬投票券発売所「ウインズ石和」)の敷地内で私費を投じ西洋式の最新ボーリング機材で井戸を採掘したところ40℃以上の温泉が湧出。これを受け、ローマ風呂や遊具などを設置し、昭和時代にレジャー施設として地元で人気を集めた。小松遊覧農場内にあった小松農園パブリックホールは、1985年に「ウインズ石和」が開業するまでプロレス興行にも使用された。なお、株式会社小松遊覧農場は存続しており、閉店した後は付近の施設に源泉供給を行っている。「ウインズ石和」の入口付近には「石和温泉発祥之地」の碑が建っている。
泉質
アルカリ性単純泉の無色無臭であり、pHは8.5~9.5程度とされる。無色無臭ではあるものの、自家源泉など源泉が新鮮な場合は若干の硫化水素臭がすることもある。なお石和温泉南西部では、薄墨色および微黄褐色のモール泉も見られる。
源泉は主に山梨県企業局により集中管理されており、パイプラインにより各温泉宿、契約した家庭に供給している。源泉の温度が年々低下しており、また湧出量も低下している。平成30年9月に4号源泉を廃止した一方で、800m深度の6号源泉を採掘し供給している。
所在地 | 山梨県笛吹市 |
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座標 | 北緯35度39分28.3秒 東経138度38分45.6秒 |
交通 | 石和温泉郷#アクセスを参照 |
泉質 | 単純温泉 |
湧出量 | 毎分8,080L |
液性の分類 | アルカリ性 |
浸透圧の分類 | 低張性 |
宿泊施設数 | 50 |